タイでカリビアン

バンコク移住生活4年目からの記録

備忘録

 

自分は以前から国際政治に興味があり、様々な事件が起こるたびにその概要を自分なりに調べているが、今の世の中は時代の流れが速すぎて次々に色々な事件が起こるため、以前に起こった事の詳細を忘れがちになってしまう。

なので、その時その時に自分なりに学んだ内容をまとめてみようと思い、今起こっているロシアによるウクライナ侵攻の事について備忘録としてまとめてみようと思った。

これはあくまで個人的な考察、単なる独り言なので、先に読み進める方はそこをご理解の上で先に進んでください。それに、自分はただのサラリーマンであり、書籍や記事などを元に暇をみて勉強してきただけで、自身で取材や裏取りもしていません。なので間違った記載や理解が中途半端な部分もあると思います。

 

自分がウラジーミル・プーチンに興味を持ったのは2014年頃になります。当時すでに国際政治に興味を持っていたのですが、ロシアの事はよく知らず、その矢先にクリミア併合が起こったので、これは勉強してみようと思い、ちょうどその頃にバンコクの紀伊国屋書店にもクリミアやプーチンの事を扱った書籍がいくつか並んでいたので何冊か読んで概要を知りました。驚いたのは、それまで見ていた欧米からの発信とは随分違ったロシアとプーチン像が見えた事です。プーチンはロシアの大統領としてロシアを守るために行動するナショナリストであり、世界情勢に詳しいキレ者であることがわかりました。今世間に流れている情報はほぼ欧米からの見方なので、たまにはロシア側からの視点があっても良いのではと思ったのもこの記事を書く原動力になったと思います。先の米大統領選の不正等を通して国際政治に興味を持たれた方も多いと思いますが、今度はロシアについて学んでみると、いわゆるDS(私はこの言い方は曖昧で好きではないですが)の別の側面も見えて理解が深まると思います。

それと、ロシアを勉強するにあたり参考にした書籍が当然ロシアの専門家によるものでした。ロシアを知りたいのだからそれは当然ですが、著者の方々の中には実際にプーチンに複数回取材経験のある方もいらっしゃるので、ある意味ロシア愛のある方だと思います。そのため、自分の理解がある部分ロシア寄りに偏っている可能性があると思います。

それから、自分はタイで仕事をしてカリビアンに乗って旅行をし、ヨガをしている平和な人間であり、決して戦争を肯定・賛美する人間ではない事もご理解いただきたいです。

 

 

まず、戦争とは両者の言い分があり、それがぶつかり合う事で起こるものです。いくらプーチンが強硬派だからと言って、朝起きていきなり「今日は機嫌が悪いからウクライナに侵攻しろ」という事はないでしょう。それゆえ、両者にそれぞれ言い分があり善悪が明確に区別できるような単純なものではないと思っています、そして、戦争の裏で誰かが必ず利益や利権を得ていると考えています。というか、むしろ戦争や紛争は利益や利権が目的で起こされるものであると考えています。それは国際政治をかじっていればわかる事だと思います。今までの歴史がそうであったように。

そして既に戦闘が始まってしまった現在、「No War」とSNSに書くのも良いけれど、まずは戦争が起こった原因と双方の主張を理解し、その主張の正当性を皆で考え、間違っていればそこを指摘する、双方の言い分にそれなりの正当性があるなら双方の妥協案を見つける事こそが一日も早く戦争を終結させる現実的な手段であると考えています。

日本人に対して思うのは、我々が見ているメディアのニュースはほぼ100%ウクライナとそれを支援する欧米側からの視点でみたものである事。つまり片側からの偏った、それもフェイクニュースも含めてかなり操作されたものである事を忘れてはいけないと思います。繰り返しますが、争いの解決にはまずは双方の主張の理解が必要だという事です。

 

 

まず、プーチンがウクライナに侵攻した経緯(自分がかじった範囲で)は元から辿るなら、簡単にまとめて以下になるのかな。あくまで1ブログの1記事であるのでできるだけ端折って簡単にしてみよう。と言いつつ物凄い長文になってしまったが…

 

①.ソ連崩壊とオリガルヒの台頭

②.2000年、ウラジーミル・プーチン大統領誕生。オリガルヒを排除

③.東欧諸国でのNATO拡大政策の開始

④.2014年、マイダン革命とクリミア半島併合、ドンバス戦争

⑤.プーチンによるユーラシア連合構想

⑥.ロシアによるウクライナ侵攻の開始

⑦.最終的に誰が得をし、誰が損をするのか

 

①.ソ連崩壊とオリガルヒの台頭

1989年にソ連が崩壊し、段階的に社会主義から資本主義への変革が起こった。エリツィン政権時代に、今まで国有だった企業は民営企業になった訳だが、その際のバウチャー制度などのゴタゴタを利用して銀行やマスコミ、そしてロシアの基幹産業であるエネルギー企業の株式を取得した新興財閥が生まれた。これらをオリガルヒと呼ぶ。オリガルヒのほとんどはユダヤ系であり、マスコミによる情報操作と金融支配によって自分たちのお仲間(エリツィン)を国家元首に再選させ、国家の中枢に自分たちの仲間を配したりして実質的にロシアを牛耳っていた。彼らは金融の力で世界に巨大な影響力を持ち、世界をコントロールしていると言われるグローバリストの巨大資本、いわゆる国際金融資本のお仲間であると言われる。

※国際金融資本は各国の中央銀行(FRBやECB)、そしてGAFAなどの世界の主だったメガ企業の株式を巨大投資会社を介して所有していると言われ、その資金力で金のかかるアメリカ大統領選挙の候補者(オバマ、ヒラリークリントンなどいわゆるネオコン)たちに資金を援助し、大統領当選後にアメリカ大統領をコントロールし、アメリカのパワーを利用して世界に多大な影響を与えていると言われている。

国際金融資本というとすぐに陰謀論と結び付けられるが、彼らが中央銀行の大株主=通貨発行権を持っているのは事実である。つまり、戦争や災害、コロナなどで国家が財政出動をし、国債を発行する。その国債を中央銀行が引き受け、中央銀行は国の口座に金額を入力する。その際のお金は信用創造されるので原資はないが、国債を引き受けているのでその後長期的に利払いを受ける事が出来る、そしてその利払いは国民から税金という形で徴収する。中央銀行の株式を所有する=通貨発行権を得るとはこういう事なのだ。まさに現代の錬金術と言える。この図式を見ればアメリカや欧州の中央銀行の株式を所有している国際金融資本が世界をコントロールしていることもあながち嘘とは言えないと思う。以後の記載の「アメリカ」は国際金融資本を含むものと思って頂いてよいと思う。

 

②.2000年、ウラジーミル・プーチン大統領誕生。オリガルヒを排除

2000年、ウラジーミル・プーチンがロシアの大統領に選ばれた。当初オリガルヒはプーチンは自分たちの言うことを聞くと思っていたが、プーチンはナショナリストであり愛国者である。そして情報機関KGB出身であるため、国際政治の事を非常によく理解していた。そんなプーチンはロシア人でもないオリガルヒがマスコミや金融、そしてロシアの基幹産業であるエネルギー産業を乗っ取り、その利益を独占している事を許さなかった。プーチンはオリガルヒに脱税などの容疑をかけてロシアからオリガルヒを排除し、ロシアの基幹産業であるエネルギー産業をロシアの手に取り戻した。ロシア人に選ばれたロシアの指導者として、オリガルヒ排除は国と国民の利益を守ったという点で正当な行為と言えると思うが、そのやり方はかなり強硬的であったと言われている。欧米はこの時のプーチンの強硬なやり方を非難した。世界中で言われている「恐ロシアのプーチン」というイメージはここから始まったものではないかと思う。

自分が思うに、プーチンが目的達成のためには強硬手段もいとわない超強硬派の人物である事は事実と思うし、お仲間がやられた仕返しに欧米側がマスコミの力を使って印象操作をして自分たちの意に従わないプーチン排除企んだのも事実であると思っている。

 

③.東欧諸国でのNATO拡大政策の開始

東欧諸国でのNATO拡大政策の詳細はあまり詳しく調べてないので、知ってる範囲で書いてみる。そもそもNATOとは冷戦時代に西側諸国が対ソ連向けに作った軍事連合である。EUが経済共同体ならNATOは軍事共同体と考えるとわかりやすいと思う。

ソ連崩壊後にレーガン・ゴルバチョフの間で今後の方針として「東欧諸国(旧ソ連の国々)へのNATO拡大はしない」と、口頭ではあるが約束を交わした。ソ連崩壊によって東西冷戦は終了したのだからNATOの不拡大は当然であった。これからはうまくやっていこう、という事だろう。

ソ連崩壊後、独立した東欧諸国はソ連時代の管理社会と貧困から解放され、ヨーロッパの(見た目の)豊かさと自由経済を目の当たりにすることになった。そして国民感情はロシア側からヨーロッパ側へと変わっていった。これは当然の事であり、東欧諸国の国民の意思なので尊重すべきと思う。しかし、どういう訳か欧米側は東欧諸国にNATOのミサイル基地をどんどん拡大していった。ヨーロッパとロシアの中間に位置する東欧諸国にNATOのミサイル基地を設置するということは、端的に言えば「モスクワに核ミサイルを向ける」ということに他ならない。ソ連が崩壊したのに何故だろうか?自分には、オリガルヒを強制排除したプーチンに対する反撃と見える。実際、プーチンはNATOの東方拡大に対しずっと抗議を続けている。この状態はグルジア紛争などを通して現在まで続いてきている。結局のところ、東と西、資本主義と共産主義、という具合に常に対立構造を作っておくことは軍需産業を仕切って戦争によって莫大な利益を得ている国際金融資本にとって都合が良いという事もあるだろう。

 

④.2014年、マイダン革命とクリミア半島併合、ドンバス戦争

マイダン革命

2014年、親ロ派だったウクライナのヤヌコビッチ政権が親欧米派の市民らによって倒され、ウクライナに親欧米政権が誕生する。これをマイダン革命と呼ぶ。

マイダン革命は市民革命のように言われるが、この革命はアメリカによる市民感情を利用した工作活動であったと思っている。その証拠の一つとして親欧米派の国民集会で当時のオバマ政権のヌーランド国務次官補佐が市民を激励していた事が挙げられる(テレビ中継されたらしい)。他国のデモ活動にアメリカの政府高官が加担する。これは明らかに工作活動である。工作と言わないまでも明らかな内政干渉であることは間違いない。日本で親中国デモが起こり、そこに中国共産党の政府高官が参加して応援していた、という状況を想像してみればわかると思う。

もう一つ、市民運動が暴力革命に発展した背景には、ウクライナの極右政党の存在があった。ウクライナには「自由」「右派セクター」と言うネオナチ系の政党が存在していた(第2次大戦時のウクライナ西部に、ナチスと協力してロシアに侵攻した勢力があり、その流れを汲んでいる組織らしい)。彼らは反ロシアの民族主義や暴力革命を主張しているネオナチ政党であり、アメリカがこれらネオナチ政党を裏でバックアップしていたと言う識者の方もいる。ベンガジ事件(ヒラリーがリビアのテロリストに武器を貸出しして政権転覆に関わった疑惑)などをみるに、これは事実の可能性が高いと思っている。

そして、このネオナチ組織はマイダン革命以後に政権中枢に入り込み、ウクライナの政治と軍事面で影響力を強め、現在のロシアのウクライナ侵攻にも大いに関わっているらしい。ウクライナのユダヤ系資産家、オリガルヒであるコロモイスキーもここに関わっており、コロモイスキーの持つ私設軍隊がこの動きに関わっているとの情報もある。

ソ連崩壊後、地理的にヨーロッパとロシアの間には独立により東欧諸国(ポーランド、ハンガリーなど)が誕生した。敵対する(なんで敵対する必要があるのか…)両陣営の間に軍事体制としての中立地域(バッファ)を作ることは緊張緩和としての常とう手段である。しかし欧米の画策により東欧諸国の多くにNATOの基地ができ、ウクライナはある意味最後のバッファ地域であった。今回の件はそのウクライナにアメリカがNATO加盟、ミサイル基地配備で本格的に動き出したという事かと思える。東欧諸国のEU加盟は全然理解できるが、NATO加盟の意図はわからない。意図的に緊張、というか対立構造を作り出しているとしか思えないのだが。

 

クリミア半島併合

マイダン革命後にプーチンはウクライナの領土であったクリミア半島をロシアに併合した。

クリミア半島の歴史を見ると色々と複雑である。大穀倉地帯であるウクライナはソ連時代にスターリンの失策で大量の餓死者を出し、そのせいでウクライナ南西部(クリミアやドンバス地方)に多くのロシア人が移住させられた。現在もウクライナ南西部にロシア系住民が多いのはこのためらしい。また、クリミアは元々はロシア領であったが、やはりソ連時代にウクライナ出身のフルシチョフが選挙の票目当てでクリミアをロシアからウクライナに譲渡してしまった。これは当時のソ連憲法違反に当たるが、当時はロシアもウクライナもソ連の一部だったので問題にはならなかった。

クリミアが問題なのは、クリミア半島のセパストポリにロシアの黒海艦隊の基地(要は海軍基地)があるからである。ソ連崩壊後にロシアの海軍基地が隣国のウクライナにあるという事態になった。そこで、当時のロシアとウクライナの間で、ロシアはそのまま基地を使用できる、その代わりにロシアは天然ガスを長期的にウクライナに安価で提供するという事で合意(ハリコフ合意)していたが、上に書いたようにウクライナは欧米寄りになり、マイダン革命で親欧米政権が誕生してしまった。つまり、ロシアの海軍基地があるウクライナに敵対するNATOのミサイル基地が出来るかもしれないというとんでもない事態になってしまった。

そんな状態をあのプーチンが容認するはずはない。プーチンはすかさずクリミアで国民投票を行ったところ、出口調査では9割がロシア編入を望んだ。それを根拠にプーチンはクリミア半島を強引にロシアに編入してしまったのがクリミア併合である。

 

ドンバス戦争

今、ウクライナ東部のドンバス地方(ドネツクとルガンスク)の事がニュースでも出てくる。ここは上で書いたようにロシアと国境を接する地域で、スターリン時代のロシア人入植によりウクライナ国内でありながらロシア系住民(ロシアにルーツがありロシア語を話す人々)が多く生活する地域である。前述のウクライナのネオナチ政党は反ロシアの思想を持っており、マイダン革命後に軍部での影響力を増大させた。そして2014年にドンバス地方でウクライナ軍によるロシア系住民への虐殺行為が始まった。それに対しドンバス地方では私兵組織が作られ、ドンバス地方で今に至るまでの内戦が始まった。これがドンバス戦争である。ウクライナ側はネオナチ組織の他にコロモイスキーの軍隊も一緒にロシア人弾圧したと言われている。つまり、オリガルヒ側が画策してロシア人を虐殺し、プーチンを紛争に引きずり込んだとみる事も出来ると思う。

欧米の政府機関やメディアはロシア系住民への虐殺などないと主張している。しかし、ちょうどタイムリーにユーチューバーのHarano Timesさんがオデッサの悲劇という、ウクライナのネオナチ組織によるロシア人の虐殺行為のドキュメンタリーをアップしてくださっているので、興味があればご覧になってみると良いと思う。

2015年にロシアとウクライナ、それと東部2州で停戦会議が行われ、ウクライナは東部2州を半自治領として認める合意がなされた(ミンスク2合意)。しかし、ウクライナは合意に署名しながらも合意を履行せず、その後も現在に至るまでドンバス地方への攻撃を継続した。

現在プーチンによるウクライナ侵攻はこの時のドンバス戦争の延長と言えると思う。プーチンはウクライナ全土を占領はせずバッファ地帯とし、在ウクライナのロシア人を守る、そしてウクライナのネオナチを排除すると言っている。欧米メディアはそこをちゃんと説明しないが、上記の流れを知っていればプーチンの発言は一応は筋が通っている事になる。

 

⑤.プーチンによるユーラシア連合構想

2015年以降現在に至るまでに特別大きな紛争などがないのでそこはよくわかりません。いきなり直近に飛びます。

クリミア併合により経済制裁をくらったロシアは経済の低調が続く。個人的な記憶だが、2015年あたりまではタイ南部などで多くのロシア人観光客を見かけた。パタヤやクラビ、プーケットなどではロシア料理屋やロシア語の看板も多く、彼らは実は親日なので時々話しかけられる事もあった。しかし、ルーブルが下落してからはロシア人の姿は減ったと体感している。

さて、プーチンはロシアの経済復興に精力的に動いていたようで、これがロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプライン建設という形で実現した。プーチンがドイツのメルケル前首相に持ち掛けて合意に至り、今年そのパイプラインが完成した。ノルドストリーム2という海上パイプラインである。これが稼働すると、天然ガスを売ってロシア経済を立て直したいプーチンと慢性的なエネルギー不足に悩む欧州の相互の利益が合致し、ロシアと欧州各国の間にまさにWIN-WINな関係が出来ていたと思われる。

エネルギーを介した同盟は強固である。こういう経済関係が一旦出来ると、大きな紛争には至りにくくなるからである。欧州諸国は慢性的にエネルギー不足に見舞われており、ロシアから安価で天然ガスを輸入できるのは望ましい。従来はウクライナやポーランドを経由し、経費を払ってガスを買っていた、あるいは今や資源大国のアメリカから高いシェールガスを買わされていた。それが、ロシアと直接パイプラインで結ばれて安価で長期的、安定的にエネルギーが得られるとなれば国民への信頼も上がる。その点はプーチンにとっても同じである。

戦略的な面からみると、ユーラシアでエネルギー連合が出来るとプーチンにとっては欧州への影響力を大きくすると同時にアメリカの欧州への影響力を低下させるという目的も当然あるので、アメリカはこのパイプライン建設に反対していた。おそらくメルケルにとってもロシアとのこの連合はアメリカとの板挟みで苦しい選択であったと思われる。

プーチンは良くも悪くも非常にキレ者である。自分などにはプーチンの考えを読むことは出来ないが、少なくともこのエネルギー連合は長期的にユーラシアを平和的な方向に向かわせるのは間違いないと思っている。その先にプーチンが欧州を足掛かりとして世界征服を考えていたとしたら自分の考察は浅はかだったという事になるが、これ以上は今のところは自分にはわからない。それに、ロシアと言う国はそもそもマッキンダーの地政学にあるハートランドにあるのだから。

何よりアメリカにとって、もしもプーチン主導のユーラシアエネルギー連合ができてしまうと、反ソ連~反ロシアとして利用してきたNATOの存在意義がまるでなくなってしまい、同時に欧州に対する影響力が低下してしまう。そんな可能性をはらむノルドストリーム2やプーチンの動きは容認しがたいに違いない。

そもそも欧州の国民感情として、アメリカを好ましく思わない国民は多い。自分としては端的だが、アメリカはアメリカ、ユーラシアはユーラシア、アジアはアジア、中東は中東、アフリカはアフリカでうまくやれば良いんじゃないの?と思うが、世の中はそう単純ではないらしい。

 

⑥.ロシアによるウクライナ侵攻の開始

2月24日にロシアがウクライナへの侵攻を開始した。多くの方がプーチンもそこまではやらないだろうと予測している中、プーチンは侵攻を開始した。自分も正直ウクライナ侵攻には驚いた。

プーチンに侵攻を決意させた根本的なきっかけは、やはりウクライナをNATOに加盟させ、そこにミサイル基地を作るというNATO東方拡大にあると思う。これはもちろんNATOとアメリカの意思でもあり、バイデンもこの発言をしている。それに対し、プーチンはウクライナにミサイル基地を作るのはやめてくれと言い続けていた。基地を作らなければ私は何もしないとまで言っていた。しかし、NATO側はこれを拒否し、ウクライナにミサイル基地を作る姿勢を変えなかった。

ロシア側の視点からみると、前述したとおりモスクワに向けたミサイル基地がウクライナに出来るという事になる。今の最新鋭のアメリカ製ミサイルの速度はマッハ17程になる。もしも今後ニュークリアシェアリングでウクライナにアメリカの最新鋭の核兵器が配備されるとウクライナからモスクワまでは約3分程の射程距離となる。そんなものを喉元に突き付けられたら、実際に核戦争にならないまでも外交交渉に大きな弱点を抱える事になるので、プーチンとしては絶対に受け入れられないだろう。

そうやって緊張感が最大に高まった時点で、バイデンは、もしロシアがウクライナに侵攻してもアメリカは戦争には参加しないと言い切った。その理由は核戦争に発展すると世界が滅んでしまうからというものだった。

プーチンとゼレンスキーを煽るだけ煽っておいて、いざ戦いが始まりそうになったらアメリカもNATOも助けない、という訳だ。要するにウクライナはプーチンを引きずり出す「餌」にされた挙句、梯子を外されて捨てられた形になった訳だ。

現在、メディア上ではフェイクニュースが溢れかえり、何が事実かわからい状態になっている。例えば、ロシア軍が民間人に攻撃を始めた、といって顔に傷を負ったおばあさんの写真が欧米や日本のメディアに取り上げられたが、それは2018年のガス爆発事故の写真だったり、夜のウクライナが爆撃を受けて燃えている映像は数年前の天津での爆発だったり、ロシア軍の爆撃機がせめて来た!という映像が以前のロシア空軍の軍事パレードの映像だったり… 挙句、映画の1シーンや戦争シミュレーションゲームの画面までもが今回の戦争の映像として使われる始末だ。恐らくメディアは取材もしていないのだろう。プーチンを貶めるためなら何をやっても構わないということだ。

これらはいわゆるハイブリット戦の情報戦にあたるものだ。そして何故フェイクニュースを流すか考えると、何かを隠したいからである。日本のニュースを見ていると、平和なウクライナを無法者のプーチンが攻め込んだという図式になっている。日本はアメリカの属国みたいなものだから当然アメリカ寄りのニュースしか流さない。しかし、実際のウクライナは汚職やマネロン、噂レベルでは人身売買などが横行するとんでも国家である。その一つに、2020年のアメリカ大統領選の時に暴露されたバイデンと息子のハンターと汚職企業ブリスマによるウクライナ疑惑がある。ウクライナはEUのような同盟に加わっていないので、やりたい放題だったのだろう。そして、プーチンがウクライナを押さえてしまえばそういう闇は葬られる事になる。中間選挙を控えたバイデンには都合が良いという事になる。もしウクライナがEUに加盟したら、そういう悪事が表に出てしまうので、本音ではウクライナをEUに加盟させる気などなく、プーチンが侵略してくれれば都合が良いのだろう。実際、直近のニュースではEUはウクライナのEU加盟に難色を示しているとのこと。EU加盟には厳しい条件があるので、汚職国家のウクライナでは加盟は難しいと思える。ちなみにゼレンスキーは元コメディアン俳優で、高校教師が腐敗した政治に怒って立候補したら大統領になる、というウクライナのドラマで主演を演じ、そのまま本当に選挙に出て大統領になってしまった人物である。そして、そのテレビドラマのスポンサーと実際の選挙の際に資金援助したのはオリガルヒのコロモイスキーだという。あ、なるほど、という事だ。彼は大統領をまさに「演じて」いるのだ。

 

まだ現在進行形のこのウクライナ侵攻に落としどころがあるとすればどこになるのだろう。直近のニュースではゼレンスキーがNATO加盟断念を考え始めたとあった。これが事実であれば、停戦合意の糸口になるのではないかと個人的に思う。

もはや東西冷戦はとっくに終わったのだから、軍事同盟のNATO拡大はやめてむしろ縮小し、欧州に入りたい東欧諸国は経済同盟であるEUに加盟させる。軍事的な対立構造を縮小していく事が結果的に紛争を減らし、平和的な世の中を作る現実的な手段になるのではないかと思う。プーチンの落としどころはウクライナの非武装化と中立なので、そこがどう収まっていくのかはわからないが、「ウクライナに核ミサイル基地を作る」という馬鹿げた挑発が今回の侵攻の直接的なきっかけだと思うので、そこから改めて行く事がウクライナ侵攻を止める第1歩になればと思うところである。

 

⑦.最終的に誰が得をし、誰が損をするのか

これは箇条書きにしてみる

・ウクライナ 今回一番被害に逢ったのは間違いなくウクライナである。NATOとロシアの間でいいように利用され、多くの人々が亡くなり、怪我を負い、一部では建物も破壊された。今後の再建もどうなるのかわからない状態で、もしも戦争が長引けば国が荒れ放題になってしまうだろう。

 

・ロシア 今回の件はロシアの指導者が起こした事である。もちろんプーチンを選んだのは国民なので、国民の責任でもあるが、ロシアの一般国民は国家への非難と経済制裁により苦しい生活を強いられている。ロシアが得をしたか損をしたかはどこで停戦合意をしたかによるので、そこはまだわからない。しかし、せっかく作ったノルドストリーム2によるユーラシアエネルギー戦略は無に喫したので、ここは痛手だと思う。その代わりにプーチンは習近平と長期的なエネルギー販売交渉を済ませたとのこ。それと、ロシアは今大量の金をため込んでおり、もしかしたら金本位制に移行するという噂もある。金本位制は今後の大事なキーワードの一つなので注意してみていきたい。

 

・欧州各国 ノルドストリーム2が完成していればロシアから安定的なエネルギー供給が受けられたはずが、それが無になり、アメリカから高いシェールガスを買わされるはめになり、慢性的なエネルギー不足も解消されず、良い事なし。結局困るのは国民である。一部情報では毎月のガス代の支払いが5万円を超え、生活に大きな支障をきたしているとか。更に、今回の件で各国が軍事費を増大させているが、ユーロ圏の国は自国通貨発行権を持っていないので国家財政にも悪い影響が出ると思われる。

 

・日本 対岸の火事と思っている日本人は多いかもしれないが、欧州の燃料不足により日本の備蓄燃料を欧州に譲るようにアメリカから依頼されているという情報を見た。今のデフレ状態で更に燃料化価格が上がれば最悪のスタグフレーションが起こる可能性もある。それと、アメリカがウクライナを助けなかったことで、中国が台湾に侵攻した際にも同じことが起こる可能性が高くなっている。つまり、台湾が中国の手に落ちるという事だ。そうなると東アジアでの米軍のプレセンスが下がり、同時に尖閣諸島を失うことになるのは間違いない。政治家の能力がある意味世界一低い日本なので、その次は沖縄… とならない事を願うばかりである。

 

・台湾 上に書いたように、アメリカが台湾を守ってくれないならば中国は必ず台湾に侵攻し、ここを併合するだろう。そして台湾は香港のように中国に飲み込まれる事になる。中国にとって同じ漢民族の台湾が独立しているということは、その他の民族(チベット人、ウイグル人、モンゴル人など)の独立に正当性を与えかねない大事であり、以前から核心的利益の地として併合の機会を狙っているからだ。台湾を守るには、まず台湾を国家承認し、クアッド(日、米、豪、印)に加盟させるくらいしか手立てが無いように思う。

 

中国 今回の件で漁夫の利を得たのは中国になると思う。そもそもエネルギー問題を抱えていた中国にとって、ロシアから長期的に天然ガスの買い付けを約束出来た事は大きい(プーチンの依頼で支払いは金になるらしい)。これで中東からインド洋石油を輸入するリスクを軽減できるからだ。それと、アメリカが核戦争を避けるために対ロシアに参戦しなかったという事は、同じ理屈で中国が台湾に攻め入っても参戦しない可能性を示唆する事になったからだ。念願の台湾(尖閣諸島)を取れれば中国にとっては大きな国益となる。

 

アメリカ 今回のウクライナ侵攻で一番得をしたのはアメリカだと思っている。ノルドストリーム2を潰した事で欧州や日本にシェールガスを売りつけられる。ウクライナ軍事支援という名目で1、2世代前の武器を大量にウクライナに売りつけ、利益を得ると当時に在庫処分にもなる。これで経済が上向きになれば、後に控える中間選挙でのアピールにも使えるだろう。また、バイデンのウクライナ疑惑をもみ消せることも選挙戦に有利に働くだろう。そして、ユーラシアでのロシアのプレセンスを下げ、プーチンを追いやり、NATO拡大によるアメリカの影響力増大→アメリカの世界支配にもつながる。それと、NATO拡大によって冷戦構造のような対立構造を再度作る事で、各国の軍事費増大→財政出動により多大な金を人民から巻き上げる事も出来る。

 

自分は以前からプーチンをナショナリストとして、国家を守る事を最優先にしている稀有な政治家として評価している。だから偏った見方になるかもしれないが、この一連の流れで言えるのは、結局はアメリカ側がプーチンを挑発して戦わざるを得なくしているのだと思っている。少なくともそういう事実はあると思う。そして自分は国際金融資本が何よりも大嫌いである。ただ、最初に書いたようにこれは個人による備忘録であり、それ以上でもそれ以下でもないものであります。

 

 

とても長い文章になってしまいました。もしもお読み頂いた方がいらしたら感謝申し上げます。

この戦争はまだ始まったばかりなのでこの先どうなるかは誰にもわかりません。しかし、これは2020年から始まった大きな流れの一つであることは間違いがなく、日本もこの流れに飲み込まれていくことは間違いないでしょう。最終的には旧約聖書のエゼキエルの預言書の通りにでもなるのか、それこそは神のみぞ知ると言ったところでしょうか。

 

駄文、そして長文失礼致しました。